彼女が一瞬消えた気がした。




 明   女 



ある日ある処僕たちは出会って恋に落ちたんだ。
それは偶然で必然で初恋だ。
こんな言葉かっこつけすぎだから『たまたま恋に落ちた』でいぃや。
まぁとにかく彼女と僕は恋に落ちて何がどうなってかはわからないが
(自分のことなのにわからないって何だって云うなよ。)
恋人といぅ関係になった。

一応僕たちは同じ学校に通っていた。
最初『恋人同士』って何すればいぃかわからなくて
とりあえず友達に云われるが儘に登下校を一緒にすることになった。
話すこともないからただ歩くだけ。
手とか繋いだ方がいぃのかな・・・とも思ったけどそんなの無理だ。
僕は初心だし彼女も結構初心だから。
最近は手を繋ぎ始めた。
結構進歩したと自分で自分を褒めたいくらいだ。
つまり手を繋いだだけで僕はオカズにできたし、何より彼女との距離が縮まった気がして嬉しかった。
話もちょっとづつするようになった。
話題はとりとめもないことで2人ともくすくすと笑うだけ。

ある日一緒に学校から帰る時
もちろんとりとめない会話をして
手をしっかりと握りあってる幸せなときだ。
一瞬彼女をちらりと見たらなんとなく
なんとなくだけど透き通って向こう側にある風景が彼女の体から見えた。
は?と思いすぐに目を擦りすぐまた見ると其処にはいつもと変わりない彼女の姿。
見間違い。

そぅだ。見間違い。疲れてたんだ。
最近暑かったし。



次の日、登校中。
またうっすらと彼女の体が透けて向こう側にあるはずの電信柱が見えた。

見間違い。

そぅだ。見間違い。まだ寝ぼけてるんだ。
昨日結構遅くまで起きてたし。




その日の帰り。
彼女の体はまた一瞬透けた。
しかも今までより凄い薄くなってた。
僕は彼女を見つめた。
「どぅしたの?」と彼女。
「うぅん、何でもない。」と僕。

見間違い?

見間違い?本当に見間違い??
どんだけ視力悪いんだ僕。でもこないだ検査した時は両目Aだったぞ。
眼下に行ってみるか。



次の日の朝。

また透けた。しかもさらに薄い。
もぅ体のラインしかわからない。

見間違い?

落ち着け自分。最近マスのかきすぎだ。
しかも遅くまで暗い部屋でAV見てるからだ。
そぅだ。絶対そぅだ。


その日の帰り。

消えた。

彼女が一瞬消えた気がした。
本当に何も見えない。見えるのはまた電信柱と其の陰にいる黒猫ぐらいだ。

何処に行った?

僕が一瞬瞬きすると彼女はもぅ僕の隣に立って僕に笑いかけている。
僕は笑い返せないでいる。

「ねぇ・・・なんで消えるの?」

云ってしまった。

「え?消える?何云ってるの?熱でもあるのかなぁ・・・。」と彼女は笑いながら僕の額に手を当てる。
「熱なんてないよ・・・。」
「んー・・・ホントだ。どぉしたの?変なこと云って。」
「別に・・・・。」

そして一瞬僕の脳にある欲求が芽生えた。

今すぐ。今すぐこの手で彼女を抱かなきゃ。抱きしめなきゃ。

僕は彼女の手を引っ張り木陰に連れて行く。
彼女を木に押さえつけるかの様にきつく抱きしめた。

「消えるな・・・っ」

ただ僕はそぅ彼女の耳に何度も囁いた。

「どぉしたの・・・?やっぱり熱あるんじゃない・・・?」
と云いつつも彼女は抱きしめ返してくれた。

15分くらいだろうか。
やっと僕は彼女を離した。
そして名残惜しげに彼女の唇に口づけた。
ファーストキスだ。
僕にとっても彼女にとっても。
何故だか今しなきゃいけないと思った。
ファーストキスは15秒間。

「ごめん・・・・。」
「んん・・・・・。」
彼女は首を振る。
「嬉しい・・・・。」そぅ云って僕をそっと抱きしめてくれた。
僕も嬉しくて抱き返した。

「帰ろうか・・・・。」
「うん・・・。」

僕たちはまた手を繋ぎ何も会話をせずいつも別れる交差点の手前で名残惜しげに手を離した。

「ばいばい・・・また明日・・・・。」
「うん・・・また明日・・・。」
彼女は僕の顔をちらりと見て微笑んでそのままくるりと背を向けた。

その瞬間また彼女は消えた。

「待って・・・・っ!!」と僕は叫んだ。
「え?」彼女は交差点の真ん中で僕に振り向きすぐに色を取り戻す

よかった・・・と思った瞬間大型トラックの急ブレーキをかけた厭な音が響き渡った。
そのあと何かが勢いよく当たった音がした。
そしてすぐにグチャという生々しい音がして僕の顔と白いおろし立てのYシャツに紅いものが着いた。
僕の目の前は大雨になり暗闇に墜ちる。






彼女は一瞬で此の世から消えた。


まだ手には温もりが在る。






終わり。





後書き。

あひゃひゃっ意味不でスマソ・・・orz
なんとなく思いついたんですってば。
此処まで読んで下さりありがとうございました。